ピークシフトプランとは
単純に言えば昼間は高く,夜間は安い電気料金プラン. 電力網側は,昼間のピークを(夜間ヘ)シフトさせることで,ピーク時の需要を抑えられる. ユーザは昼間に電気の使用を控えれば電気代を安く抑えられる.
ピークシフトプラン(ピーク抑制型季節別時間帯別電灯)|電気料金・各種お手続き|東京電力
ひとり暮らしの会社員としては,平日の昼は家にいないので, もしかしてこっちの方が安くなるかも,ということで加入を検討するために現行の料金プランと比較してみる.
実測値で比較
約1年前に電力計を買った. そのデータが約1年分たまっているので,このデータを使って比較してみる.
Current Cost - Reducing your energy bills so you can live a greener life!
去年の6月から先月までの電力データを使って,現行 (従量電灯B, 30A),ピークシフトプラン (6kVA以下) の場合に月々の電気料金を比較してみた. 基本料金は含まれているが,燃料調整費などの細かい費用は含まれていない. また,去年の6月から12月はじめまではクランプ (配電盤で電力を測定する機器) のつけ方を間違ってたので,正確じゃない部分もある. ただ,冬の間はエアコン使ってたけど,去年の夏はエアコンを使ってないので,あまり誤差はないはず (冬にエアコンを使用するまであまり変化がなかったので,間違っていたことに気付けなかった).
半年近く測っていた電力計の計測値が不十分だったことが判明.単相三線の片方にしかCTがついていなかった.前からエアコンつけても電力が増えないからおかしいな,とは思ってはいたが.でも,ついていなかった方がエアコンがメインぽいので,エアコンつけてない時の誤差はそんなになかったはず.
— Yuichiro Fukubayashiさん (@fukubaya) 12月 5, 2011
現行の方が安い...
すべての月で現行 (従量電灯B) の方が安くなることが分かった. ピークシフトプランにすると基本料金が819円→1260円と441円アップする (30Aの場合.たぶん電力メーターを交換するため) のだが, その差がなかったとしても現行 (従量電灯B) の方が安い.
ピークシフトプランで安くなるのはどういう場合か?
どういう状態だと安くなるのか気になるので調べてみた. 従量電灯B (30A) で1ヶ月の使用電力量と昼 (7〜23時) と夜 (23〜7時) の使用割合を変えた場合の電気料金 (10〜6月の場合) を算出してみた. 表の赤い部分はピークシフトプランの方が安くなる場合.
1ヶ月の使用電力量が125〜150kWhくらいだと,昼の割合が3割を超えるとピークシフトプランの方が高くなる. 同様に175〜200kWhだと4割,225〜300kWhだと5割,325〜kWhだと6割を超えるとピークシフトプランの方が高くなる.
うちの場合は,130〜180kWh/月なので昼の割合が3〜4割じゃないと,ピークシフトプランの方が安くならない. さらに細かく, 各月の時間帯ごとの電力使用量を出してみると,「昼間」の期間である19〜23時に電力使用量が増え,昼:夜の割合が6:4から5:5になるので, ピークシフトプランの方が高くなってしまう.
結局,「昼間」の期間である19〜23時にはすでに自宅には帰っており,電気を使用してしまうので, うちの場合はピークシフトプランでは安くならないことが判明した.
ピークシフトプランが安くなるのは誰?
ピークシフトプランでは,23時〜7時の電力料金が安くなり (9.17円/kWh) それ以外の時間帯はそれより高くなる (26.53円/kWh). さらに夏 (7〜9月) の13時〜16時はピーク時間帯としてさらに高くなる (44.60円/kWh). 一方で従量電灯Bでは時間帯に関係なく,0〜120kWhまでは17.87円/kWh (第1段階料金),120〜300kWhまでは22.86円/kWh (第2段階料金),300kWh以上は24.13円/kWh (第3段階料金) になる.
つまり従量電灯Bで300kWh以上使用してもピークシフトプランの昼の料金より単価は安い. 300kWh以上使うような場合でなければあんまり恩恵は得られそうにない. 案内ページでもそのように案内している.
「従量電灯B」では、1か月あたりの電気ご使用量に応じて3段階の電力量料金単価を設定しております。最初の120kWhまでの第1段階料金は比較的低い料金、120kWhをこえて300kWhまでの第2段階料金は平均的な料金、300kWhをこえた第3段階料金はやや割高な料金となっております。したがって、月々の電力量料金として主に第1段階料金および第2段階料金が適用されているお客さまの場合、引き続き「従量電灯B」でのご契約をおすすめします。
したがって,ひとり暮らしで300kWhを超えるのはなかなかないと思うので, それ以下の使用量でピークシフトプランの恩恵を受けられそうなのは,帰るのは23時以降,朝は7時前には出る,昼間は家に人はいません,みたいな人と言える. ....電気料金が安くなってもそういう生活は無理だな.
シミュレーション
なお東京電力の案内ページではシミュレーションもできるので,プランの検討をするなら,これを試すのがよい. 途中にある「年間使用量をもっと詳しく算出する」で,平日の休日の使用パターンを入力した方がより正確に出ていい.
ピークシフトプラン加入シミュレーション |電気料金メニュー「ピークシフトプラン」のご案内 |東京電力
ちゃんとピークシフトプランの方が割高,と教えてくれた.
どうやったらピークシフトプランの方がお安くなるかのシミュレーションもできるけど,今の生活では到底無理ぽい.
というわけで,プランの変更はしません.